先のばし |
109-01
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やるべき修理や、メンテナンスを先のばしにして、当面の利益を確保することは、間違っています。先で大きな問題を起こします。
やはり、現実を見る勇気が必要で、そこから逃げてはいけません。修理には、お金もかかるでしょう。しかし、やるべきことをきちっとやることは、自分を律して、緊張しますから、対策も工夫も生まれます。
それを先のばしすることは、自分で自分をだましているわけですから、あとで墓穴をほります。
病気でも、そうです。医者から「たぶん…でしょう」といわれると、良いほうに解釈して、放置しておくケースがありますが、多分は絶対ではありません。また、医者は他人の体を診ているわけですから、100%確実なことが判るとは限りません。「自分にとって一番良い医者は、自分」なのです。多分は絶対ではありませんから、注意深さ、そして用心することが必要です。
先にのばしても、けっして、逃げきれるものではありません。その都度、勝負をすれば、小さな勝負ですみますが、あとになると、小さな勝負では、すまなくなってしまいます。
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シビリアン・コントロール |
109-02
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体験したものとして言えることですが、私は、先の戦争は、日本が負けて良かったと思っています。あれが、まぐれで、アメリカに勝っていたら、日本は、かの国と同じように、狂気じみた国になっているでしょう。
戦争中の軍人の威張り方は、尋常ではありませんでした。統帥権を笠に着て、何でも、天皇陛下のご命令であるとして、どこまでも突きすすむでしょう。
アメリカの軍隊は違います。朝鮮戦争の際、トルーマン大統領はマッカーサーを首にしました。
これは、シビリアン・コントロールが、きちっと効いている証拠です。
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教養と教育
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109-03
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一流の大学を出て、高い教育を受けた人でも教養がなければ犯罪者にもなりかねません。
学校に行くことができなかった田舎のおばあさんでも、礼儀正しく、教養のある方だなと思うことがあります。
教育だけが大事なのではなく、人間としての教養が先です。
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文理融合
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109-04
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メーカーの組織は、開発・生産・営業、そして管理の四つから構成されるのが一般的です。
この四つの部門の、どれが一番大事かというと、四つとも大事と、いわざるを得ません。
ただ、一般的にいえることは、技術が強いといわれた会社で、つぶれた会社はかなりありますが、営業が強いといわれた会社でつぶれた会社は少ない。営業部門の強い会社はつぶれにくいということはいえそうです。
当社の研究開発の指針を「マーケットリサーチから試作試販まで」としているのは、研究員や技術者の独りよがりではダメだからです。買ってもらわないと意味がないからです。
技術に強いといわれる会社の欠点は、技術の過信が、独りよがりになっているからです。研究員も技術者も、マーケットがわからないと、結局は売れません。お客様がなにを欲しているか?これがわからないと売れる商品は完成しません。
最近は文理融合といって、文系のひとも理科系のことを、ある程度わからねばなりません。すなわち営業スタッフも技術的な説明ができないと通用しません。一方、理系の人もマーケットがわからねば、結局商品になりません。
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一極集中? |
109-05
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かつて、一極集中が製造業の理想のようにいわれた頃がありました。
私はこの考え方にはずっと疑問をもち、当社は一極集中をやりませんでした。一極集中はなるほど効率は良いかも知れませんが、ひとつに絞ったその商品がはずれたらどうなる?今日のように変化の激しい時代、ある時期は当たっても、しばらくすると衰退することもあります。従って当社は、電気絶縁材料、電子材料、工業材料、電機製品の四つによるバランス経営をとってきました。
一極集中で、失敗した会社は、皆様ご存知のとおりです。
また最近の大企業をみていますと、力のある企業は商品の幅を拡げるにあたり、開発にかかる時間を節約するため、他社の買収にかかり、力のない企業は、他社との合弁で風圧に耐えようとしています。
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この後は、本年の新入社員(13名)が、「一隅の経営」を読んで、共感した、感銘を受けたとして選んだベスト3を紹介します。
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自分に合う仕事はない |
109-06
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最近の学生は、会社に入ってもすぐに辞めてしまう人が多い。
辞める理由は、仕事が自分の好みにあわないからといいます。しかし、自分の好みにあう仕事などありません。自分がその職業にあわせてゆくのです。誰がその人にあう職業などつくってくれるものですか。
自分から好きにならねばなりません。あわせてゆくことが忍耐なのでしょう。そして徐々に理解もできて好きになっていけると思います。
仕事をイヤイヤするのも一生。仕事が好きになって、頑張るのも一生!
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商売 |
109-07
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品質が良くて、安くて、熱心なら、敵(かたき)でも買ってくれます。悪くて、高くて、不熱心なら、親でも買いません。
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海の鯨より川の鮒 |
109-08
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中堅とか中小の企業は、いつも身の丈にあった経営を心がけることが大切です。そして市場は小さくとも、その中ではトップシェア(市場占有率)であることが生きることの要になります。
大海の鯨をねらう必要はありません。大きな市場でも、占有率が小さければつぶされてしまいます。
鯨が無理だと思ったら、多少、市場は小さくても池を対象にして、池の中の鯉になることです。池の鯉なら威張っておれます。
池の鯉も無理と思ったら、川の鮒になったらよろしい。川の鮒なら生きていけます。何故なら鯨は川までは来ないからです。
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