主役を育てる |
84-01
|
|
当社の20年間の歴史を見ますと、売り上げのトップになる商品が、次つぎと変わりました。売り上げの6割をしめていた主力のA商品が衰退して、今では10パーセントを割るまでになっていますが、このA商品にかわってB商品に思いきった開発投資と設備投資をやって、Bが主役の時代が10年くらい続きますが、このBも衰退してゆき、次にC商品がトップになります。
現在は、といいますと、売り上げ、利益ともトップを走っているのはD商品です。
A商品のまま、何もしなかったら利昌工業はつぶれているでしょう。次つぎに、新しい商品を事業化していったので、なんとか今日の利昌があります。
当社のように、材料の場合は、特に商品開発と、その事業化には、長い時聞がかかります。先のD商品でも、スタートからみると主役になるまで20年以上かかっています。
先程、ある大手の電機メーカーの経営者が、国内従業員は、5分の1になると言っておられましたが、みんながこれでは日本の雇用はどうなるのでしょうか。海外で生産するといっても日本人がワーカーとして、全員むこうへいくわけにはまいりません。
やはり、日本でつくって、世界に通用する主役を、それぞれの企業が開発するしか、道はないと思います。
|
冒険と無謀 |
84-02
|
|
企業は、発展させるために、時には冒険もします。冒険には当然リスクをともないますが、それを承知で冒険もしないと成長は望めません。
全くリスクをとらないで、石橋を叩いて、渡らない…ようでは、その企業はやがて衰退してゆくことになるでしょう。
冒険というのは、リスクはありますが、成功の可能性があります。成功の可能性があるからやるわけですが、倒産した会社の経営をみますと、冒険ではなしに、まさに無謀とも思えることをやっていたケースが多いと感じます。
冒険と無謀は異なるもので、無謀というのはエベレストを夏服で登頂するようなもので、成功の可能性はゼロです。100パーセント死ぬことになるでしょう。
登頂に成功したヒラリーは、万全の準備をし、最高のシェルパを雇って挑みます。これが冒険です。
先に破綻したバイオで有名だった企業も、中身は、金と時間に糸目をつけぬ研究など、無謀としか思えません。
|
銀行の関心 |
84-03
|
|
『良いものを研究しています』といっても、銀行にとって関心は、当然のこととして、貸したお金が、利息をつけて、きちっと返済されるかどうかが第一です。
従って我々は結果を出さねばなりません。
|
起業率と廃業率 |
84-04
|
|
日本はアメリカなどと比べ、起業率に対し、廃業率のほうが多いことが問題視されていたと思いますが、最近、私は問題にしなくても良いのではないかと考えています。
そもそも、今は企業の数が多すぎるのであって、弱い企業が沢山あるよりも、強い企業がそこそこの数あれば、よいのではないかと思っています。
私達は、どうすれば強い企業になれるか、生きのこれるか、この一点に努力すべきであって、残酷な言いかたですが、弱い企業は結局、淘汰されていかざるをえないのではないでしょうか。
減ることを恐れる心要はありませが、グローバル化の時代では強い企業が増えることが必要だと思います。
|
良い面と、悪い面 |
84-05
|
|
何ごとにも、必ず良い面と、悪い面があるものです。
良い面は、すぐわかりますが、必ずその対面には、悪い面がありますから、これを忘れないように認識しなければなりません。
悪い面はすぐに、なくすことはできませんが、大切なことは、それを認識して、少しでも少なくする方法、カバーする方法を考えることです。
それが経営だと思います。
|
内需 |
84-06
|
|
日本は1億2700万人もの人口があって、そこそこの内需があるから、内需にたよって、のんびりしていたところがあります。
韓国などは4500万人ですから、内需相手だけでは投資効率が悪いから、世界のマーケットを見据えて投資をし、営業は世界に打って出ようとします。人口わずか500万人のスイスにしても、ロッシュなど世界的な製薬メーカーができたのも、そういう考え方です。
日本も、グローバル化の時代になると、広く世界のマーケットを見据えた戦略をたてないと海外勢におされて、日本のマーケットまで、彼らにとられることになります。
いつもいうことですが、需要のあるなしが問題なのではなく、誰がサプライヤーとして残れるかということです。
日本の領土は、まちがいなく日本のものですが、日本のマーケットは日本企業だけのものではありません。
|
無知は罪 |
84-07
|
|
大切なことは、『わからないでやる』のではなく、『わかった上でやる』ことです。知らないでやっているのと、知っていてやっているのとでは、結果は大違いです。
|
報告 |
84-08
|
|
「こうします」「あーします」という報告は、お伽話を聞いているようなものです。その段階では実績をともなっていないわけです。
いつも、そんな報告ばかりしている人は困るわけで、信頼できる人というのは「こうなりました」という報告をする人です。
|
人間 |
84-09
|
|
動物は、自分が生きるために、自分が食べる分だけ、他の動物を殺します。
しかし、狩猟などの楽しみで、他の動物を殺すのは人間だけです。
人間は、蝶を集めてピンで刺して、標本をつくります。その事は学問のためで、決して非難されるべきではありませんが、人間以上の高度な?動物がいて、人間をピンで刺して人間の標本をつくるのと、神の目からみれば、同じことかもしれません。
神からみると、人間はそんなに優れた動物とは思われていないのではないでしょうか。
そう考えると、私は、神様に何かお願いごとをしたり、助けて下さいなどと、勝手なことはいえない気がしています。
|
創業90周年 |
84-10
|
|
当社は、本年で創業90周年を迎えます。造り酒屋さんや旅館など、地域的、家業的な仕事で百年以上続いている、所謂、老舗企業は、そこそこあると思いますが、当社のように、比較的、先端的な工業製品を製造しながら、90年というのは数少ないかも知れません。
いつの時代であっても、社会のニーズに応え、社会が必要とする企業は存続できるわけで、もとより私達は、絶えず社会が必要とする企業でありたいと念じ努力してきたわけですが、今後ともそれを忘れてはなりません。
|
マーケットの大きさ |
84-11
|
|
マーケットの大きさは「人口×所得」で決まります。日本や欧米は人口も所得も、これから大幅に伸びるとは考えにくい。
その点、新興国は、所得がこれからさらに増える余地があり、大きな人口をかかえている国は、マーケットが、さらに大きくなることが期待できるわけです。
|