RISHO Now 211_2

2018年10月10日
 

利昌工業株式会社


 

 この度、リショーライト ガラス布基材エポキシ樹脂積層板 ES-3751SHが、欧州域内における鉄道車両の防火規格を定めたEN 45545-2の試験に合格しましたのでご報告申し上げます。

これまでの経緯
 ES-3751SHは、これまでにも発煙の少ない材料として、英国鉄道車両に関する防火規格であるBS 6853の試験において、最も厳しい外部配置カテゴリーの難燃性試験に合格しております。
 BS 6853のカテゴリーは、歩道及び避難立て坑へ通じる側面出口がない単線トンネルを長時間走行する車両、長時間地下を走行する寝台車、又は無人運転列車に適用される防火規格です。
 BS規格は、英国のほか欧州やアジアなど海外向けの鉄道車両材料にも、その取得が求められて いました。
 欧州域内における鉄道車両の防火規格には、NF F 16-101(仏)、DIN 5510-2(独)など各国独自のものが併存しており、国境をまたいで運行する車両を製造する場合、これら複数の規格を配慮する必要がありました。


欧州域内統一規格の発効
 これをうけて欧州では2013年に域内の統一規格であるEN 45545シリーズが発効し、2018年までに、各国の独自規格がEN規格に置き換わることになりました。
 EN 45545シリーズは7つのパートに分かれております。このうちES-3751SHが合格したEN 45545-2は、鉄道車両に使用される各種材料と部材についての火災安全性に関する試験およびその要求事項を規定しており、現在世界で最も厳しい鉄道車両規格とされており、欧州以外の地域(中東・アフリカ)でも採用されています。



R23外装材としてハザードレベル3をクリア
 EN 45545-2では、火災リスクレベルが「ハザードレベル(HL)」として3段階で規定されております。このレベルが高くなるほど要求項目が厳しくなり、HL3が最も厳しいものになっています。
 さらにその材料が、車両の外装に使われるものか、あるいは、内装に使われるものかといった区分や、その材料が1車両あたりどれくらいの量で使用されるのかなど、要求項目が細かく設定され ています。
 今回の試験では、ES-3751SHをモーター周りなどの絶縁材料としてご採用いただくことを念頭に、鉄道車両の構体外部に設置される電気機器の絶縁コンポーネントの一部として使用される材料として申請しました。
 さらに露出面積は0.2uを超えず、可燃性物質量は、外装用途として2000グラムを超える可能性があるものとし、これによりEN 45545-2が定める要求セットおよび適合基準であるR23(外装)の試験を受けました。
 その結果「ハザードレベル3」をクリアいたしましたのでご報告申し上げます。


火災時の発煙を抑えた樹脂と材料構成
 ES-3751SHは、発煙を極力抑える樹脂とガラス布で構成されています。これにより、万が一トンネル内で火災が発生しても、できるだけ避難誘導路の視界を確保することができる安全性に優れた鉄道車両材料に仕上がっております。
 さらにお客様から、ハロゲンフリー材であること、加熱時の機械的強度に優れることを高くご評価いただいております。
 今回のEN 45545-2認証取得を機に、欧州域内およびアジアなどを運行する鉄道用モーターの絶縁材料として、さらなるご愛顧を賜ることを期待しております。


一般特性