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2023年7月10日
 

利昌工業株式会社

マルチカットフォーマーを導入
 このたび利昌工業では、内層回路入り多層銅張積層板(以下、多層板)の外形加工にマルチカットフォーマーを導入しました。

多層板とは
 多層板は、限られたスペースに多くの回路を形成するため、基板の内部にも何層かの回路をもつプリント配線板材料です。
 最外層の両面には銅箔が張ってありますので、どれも銅板のような外観ですが、内部には、お客様ごとに異なるカスタムメイドの回路が敷かれています。

基準穴
多層板がお客様に納入されると、まず穴あけ加工が施されます。このおり重要となるのが「基準穴」(ピン穴)です。
これはお客様のご指示に基づき、利昌工業が穿ったもので、多層板の端から所定の距離に位置します。
ここを基準に数値制御のドリルマシンが、タテヨコの位置を決めて穴をあけるわけです。
 話が脱線して恐縮ですが、多くの場合ピン穴は3か所です。ドリル加工のおり多層板の上下や左右を反対にしてステージにセットするのを防ぐ工夫で、いわゆる「ポカヨケ」です。

外形加工の品質
 後の工程においても、数値制御の機械が多く導入されています。このため設計値どおりの寸法に仕上がっているか?
あるいは向かい合う辺どうしの平行度はしっかり出ているか?など、多層板の外形加工の品質は非常に重要です。

ルーター加工機
 これまで利昌工業では、この外形加工を汎用機であるルーター加工機で行っていました。
 これはステージにあるピンに多層板のピン穴をセットすると、数値制御されたドリル錐が外形をトレースするものです。
回転する細い錐が1m以上、場合によっては2m近くもタテヨコ方向にゆっくり移動しますので、自ずと一定の時間を要します。
 その後、切断面の端面研磨と識別番号の刻印は作業者が別の機械にかけて実施していました。

汎用機から一貫ラインへ
 この度導入したマルチカットフォーマーは、自動投入機で多層板をセットすると、まずCCDカメラが基準穴を検知します。
続く切断工程では高周波スピンドルモーターで駆動する2枚のダイヤモンドカッター(鋸)が並行する二辺を同時に素早く切断。続いて90度回転させて、残る二辺を切断します。
このおり端面研磨も同時に済ませています。さらに厚み検査機に送った後、圧縮空気(エアペン)により識別番号を刻印します。

 このようにマルチカットフォーマーの前後にも、さまざまな機器を接続することで、外形加工の一貫ラインを構築しました。

加工能力の大幅アップ
 これまで多層板の外形加工は、汎用機を駆使し、さらには精通したスタッフの技量でもってさまざまなご注文に対応してまいりました。
このため急激な需要量の増加には、直ちに対応できかねることがありました。今後は新規導入したラインに加え、従来の汎用機も継続して使用することで、外形加工の能力が大幅に向上します。
 需要量の変動に対しても柔軟に対応できる態勢が整いました。お急ぎのご用命がございましたら、ご連絡いただきたくお待ちしております。