Products News 288

2024年1月10日

利昌工業株式会社


金属板ベースのプリント配線板材料
 自動車のヘッドランプに使用される高輝度LEDや、電気自動車の電力変換装置に使用されるパワー半導体は、稼働時に高い熱を発します。内部温度は175℃前後にもなるとされ、これを効率よく放散させるため、アルミ板など金属ベースのプリント配線板に搭載されることが多くあります。
 金属ベースプリント配線板材料は、アルミ板などの表面に0.1mm厚程度の絶縁樹脂の層を配し、その表面に回路形成用の銅箔を張った複合材です。部品が発する熱は絶縁樹脂の層を介して金属板に伝わります。そこでこの樹脂には、一般的なプリント配線板用樹脂の数倍から数十倍にもなる熱伝導性が付与されています。


はんだクラック
 機器を小型化するため、最近の電子部品はリード線のない表面実装タイプ(SMD=Surface MountDevice)が多くなっています。
 SMDをアルミベース基板に搭載する際は「はんだクラック対策」が大切です。長さ1mのアルミ板の熱膨張は20℃の温度変化で0.5mm程度。SMDの熱膨張率はその5分の1程度で、しかもサイズは数mm角程度。この微細な部品の足元で繰り返されるアルミ板の寸法変化は相当な程度になります。寸法変化は伸び縮みの繰り返しですから、SMDのはんだづけ部は、その都度これに耐え、その場に踏み留まらねばなりません。そしてついには力尽きて疲労破壊に至ります。これがはんだクラックです。
 自動車は温度変化が大きい屋外におかれることが多く、車載機器用の金属ベース基板には、高い熱放散性に加えて「はんだクラックを起こし難い」という特性が求められます。



柔らかく(低弾性)かつ熱伝導率が高い樹脂
 これを受けて利昌工業では、熱硬化の後でも、一般のプリント配線板材料と較べて5倍程度も柔らかい(低弾性)7305系樹脂を開発中です。
 全頁の図のごとく、この柔らかさでアルミ板の寸法変化を吸収。はんだクラックの発生を抑えるわけです。さらに7305系樹脂には、一般的なものの17倍程度にもなる熱伝導性も付与しております。7305系樹脂と同等程度の熱伝導率をもつ低弾性樹脂は、他社品を含めても非常に少なく、今のところ業界最高クラスにあると推察します。
 利昌工業では、7305系樹脂を完全硬化で絶縁層に配した「アルミベース基板材料AC-7305」と、半硬化の状態で樹脂のみご提供する「接着シートAD-7305」をラインナップする予定で、何卒ご評価の機会を賜りたく、お願い申し上げます。


はんだクラック対策用樹脂のラインナップ
 利昌工業では、はんだクラック対策品として、7305系のほか、既存品として多くのご愛顧を賜る7303系と7302系の樹脂をベースにしたプリント配線板材料をラインナップしております。
◆7303系樹脂関連
 アルミベース基板材料AC-7303は、照明用途などで多くのご採用を賜っております。接着シートAD-7303は、熱膨張率の異なる異種材料を張り合わせる用途で使用されています。
◆7302系樹脂関連
 低弾性(柔らかさ)を追求した樹脂で、他の品番より貯蔵弾性率がひと桁低いことが特徴です。
 7302系は、アルミベース基板材料のみのリリースで、高いはんだ接続信頼性が必要になる車載用の光源で、多くの車種に搭載されております。
今後の展望
 はんだクラック対策の低弾性かつ高熱伝導の樹脂はアルミベース基板を中心に多くのご採用を賜っております。
 今後は熱膨張率が異なる材料の張り合わせ、あるいは樹脂の高い耐折性を生かした用途に展開できることを期待しております。





詳細は、PDFファイルでご覧頂けます。
当、Products Newsは、「RISHO NEWS 232号」より抜粋しました。
はんだクラック対策 アルミベース基板材料 5W/wKタイプを鋭意開発中(PDF 1.34MB)



利昌工業株式会社