一隅の経営 101
RISHO NEWS198

利昌工業株式会社 代表取締役会長兼CEO

利 倉 晄 一

 

現場の仕事、開発の仕事

101-01

 現実の変化に対応するのは、技術を含む現場の仕事です。
 未来の変化に対応するのは開発(R&D)の仕事です。
 開発は、少し困難を伴っても、挑戦する価値があることを、会社に説得しなければなりません。未来のことですから、不確実なことは当然ありますが、その説得は迫力あるものを期待しています。


自覚

101-02

 人間の能力には、そんなに大きな差があるわけではありません。
 そのポジションについてみて、出来るか、出来ないかは、才能の問題だけではなく、本人の自覚の問題です。自覚があれば、やっていけます。
 もちろん才能があって、その上、責任に対する自覚があれば、それはもっとも望ましい。



経験

101-03

 経験の積み重ねは大切といわれますが、真剣に経験したことかどうかが問われます。
 ぼんやり経験したことは、役に立つ経験とはいえないと思います。



リスク管理

101-04

 当社の海外駐在員には、身の危険を感じたら会社は放っておいても良いから、すぐ帰国するようにと言ってあります。
 口を酸っぱくして言っていますが、念のためにその国の航空会社でない飛行機のキップまで渡してあります。有効期限が来たら、その都度更新しています。
 まさかの時のことを考えてやっておくのがマネイジメントだと思います。


数年先は地獄?

101-05

 ここ数年は、日本経済もよいと思いますが、その先は悲鳴をあげそうな時代がくるかもしれません。
 今のうちに会社を強くしておくことです。


グローバル化と技術革新

101-06

 世の中の変化が早くなっているのは、グローバル化と技術革新がその原因です。
 この二つによって、われわれは翻弄されているわけです。
 何が起こるかわからない。昨日まで売れていた商品が、急に売れなくなることだって起こりうるわけです。
 世の中を恨んでも仕方がありません。
 これがダメなら次はこれ、その次はこれ…と心の準備もしておくことです。



関税

101-07

 関税をかけるということは、差をつけることです。弱いものを守るためにハンディをつけているわけです。
 関税が撤廃されるということは、ユーロ圏におけるドイツのように、強いものが独り勝ちになるということです。



現状維持

101-08

 ひとつのことに、しがみついて生きていける世の中ではありません。従って深い仕事はできないかも知れませんが、浅くとも世の中の変化についていかねばなりません。
 新しいものを生み出して行かないと、現状維持も難しいと思います。



責任

101-09

 打つべき手は、自分で考えること。誰も教えてはくれません。
 問題はどこにあるのか、先ずそれを見つけることです。そして、ものごとを深く、真剣に考える習慣が大切です。
 真剣に考えていると、知恵が出てきます。



気にする

101-10

 気がついて、気にしているかどうか?ということが大切です。
 気にしておれば改善しようとしますが、気にしていないとなると改善しないということですから、これ程、恐ろしいことはありません。
 今、売れている商品でも、もし、この商品の売上がゼロになったらどうしよう?と気にしておれば、次のことを考えるものです。



道路と床と屋根

101-11

 工場で大事なところは、道路と床と屋根です。
 道路がガタガタのままの工場は、生産性を考えていない。
 床が汚い工場は、品質のことを考えていない。
 屋根の修理もできていない工場は、企業の永続性を考えていない…ということになるのです。

 


 

今年の新入社員17名が「一隅の経営」を読み、共感したとして選んだベスト3をご紹介します。

 


数学のできる子と絵の上手な子

101-12

 数学のできる子供と、数学は駄目だが絵の上手な子供…どちらが上とか下とかいうのはおかしい。

 


海の鯨より川の鮒

101-13

 中堅とか中小の企業は、いつも身の丈にあった経営を心がけることが大切です。
 そして市場は小さくとも、その中ではトップシェア(市場占有率)であることが生きることの要になります。
 大海の鯨をねらう必要はありません。大きな市場でも、占有率が低ければつぶされてしまいます。
 鯨が無理だと思ったら、多少、市場は小さくても池を対象にして、他の中の鯉になることです。池の鯉なら威張っておれます。
 池の鯉も無理と思ったら、川の鮒になったらよろしい。川の鮒なら生きていけます。何故なら鯨は川までは来ないからです。

 


販売に強い会社

101-14

 技術に強いと言われた会社で潰れた会社はありますが、販売に強いと言われた会社で潰れた会社は聞いたことがありません。

 


本稿は、利昌工業株式会社取締役会長兼CEO 利倉晄一が社内の会議等で、発言したことを社員が記録したもので、社内報に掲載したものを一部転載させて頂きました。