一隅の経営 105
RISHO NEWS202

利昌工業株式会社 代表取締役会長兼CEO

利 倉 晄 一

 

足るを知る

105-01

 「足るを知るものは貧しくといえども富めり。足るを知らざるものは富むといえども貧し」という言葉があります。
 みんなで一緒に生きていこうとするなら、お互いに、どこかで我慢しなければならないことも出てきます。
 しかし、現状で満足していると進歩がないではないか?といわれれば、その通りです。
 満足できないから、そこに進歩があるわけです。
 進歩のためなら、足るを知ってはいけないことになります。
 他人に迷惑をかけるような進歩なら、誰でもできるわけで、進歩のなかにも、足るを知る精神が必要だと思います。


小さな改善

105-02

 大きな改善は、すぐ真似されやすいが、小さな改善の積み重ねは、気づかれにくいので、真似もされにくい。


踏ん張る

105-03

 相撲ではありませんが、どこかの時点で踏ん張ることが必要です。
 悪くなってしまうと、踏ん張りようがありません。悪くなってしまう少し前に、踏ん張りどころがあるものです。



コーチング

105-04

 当社も今、コーチングをやっていますが、コーチングの意義は、上からの指示待ちで動くのではなく、自分で考えて、自らの責任で動く社員を増やすということです。
 自分の意見もいわないで、上司からの指示で動いているのは、無責任に動いていることになります。


日本は災害の国

105-05

 1923年の関東大震災から、1995年の阪神・淡路大震災まで、70年以上も経っていましたから、みな災害のことは忘れていました。  しかし、東北、熊本と、次々に起こってくると、日本は災害の国なんだということを、忘れずにはおられません。


得意の分野

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 人間、得意の分野で失敗することがあります。
 不得意の分野は慎重になりますから、却って失敗しない。得意の分野は、自分でも得意と分かっているから、そこに油断が出てきます。



オリジナル商品

105-07

 特徴のある独特の商品でも、それを普及させるためには、最初にものすごいエネルギーがいるも
のです。
 オリジナリティがあるから、わかってくれるだろう…という考えは甘い。

 集中的なエネルギーで、先ず小さな波を起こすことです。そしてそれを大きな波にする努力を懸命にやる。2年や3年はかかると思いますよ。



企業の目的

105-08

 企業の目的は、大きくすることではないというのが、長くこの利昌工業を経営してきた私の考え方です。
 大きくすることを目的にしますと、どうしても無理をします。すると潰れる場合もあります。
 私の経営は、大きくすることではなく、継続することを目的にやってきました。結果、大きくなれば、それはそれで結構なことですが、やはり結果であって目的ではありません。
 私が入社した時、利昌工業の従業員数は60人でした。いま900人になってはいますが、それを目的にしたことは一度もありません。



緊張感

105-09

 緊張感というものは大切ですが、誰でも最初は緊張していても、しばらくすると、だらけてしまうものです。
 ピーンと張ったままの緊張を持続することは難しいかもしれませんが、緊張の糸を少しだけ緩める。緊張感に多少の強弱があってもよいと思います。
 しかし、大切なことは持続することです。持続さえしておれば、少し緩い緊張感は、また強く張りなおすことができますが、すっかりやめてしまって怠惰な状態に陥っておれば、それからピンと張りなおすことはできません。
 組織というのは、そういうものです。



 

 今年入社した新人社員14名が『一隅の経営』を読んで、その中から『私はこれが一番共感できた』というものを、いくつか選んでもらいました。
 一番人気があったというと、語弊があるかもしれませんが、若い彼ら、彼女らが選んだベスト3はこれです…

 


悪い話、良い話

105-10

 悪い話ばかりの時は「しかし、どこかに良いところがないか」と考えてみましょう。
 良い話の時は「しかし、どこか悪いところがないか」と考えましょう。

 


知ること

105-11

 知ることは不安であるが、早く知れば助かるかもしれない。

 


百里の道は九十里をもって半ば

105-12

 中国の言葉に、百里の道は、九十里をもって半ばとするというのがあります。
 私達の仕事も同じことで、これでできたと簡単に考えないで、まだこれでは半ばではないだろうか?詰めのあまい所はないだろうか?と考えて、もう一度、踏み込んだ仕事をするのと、しないのとで、大きく違ってくるのです。

 


本稿は、利昌工業株式会社取締役会長兼CEO 利倉晄一が社内の会議等で、発言したことを社員が記録したもので、社内報に掲載したものを一部転載させて頂きました。