一隅の経営 83
RISHO NEWS180

利昌工業株式会社 代表取締役社長

利 倉 晄 一

 

Business is Business

83-01

 仕事の上で、相手の厚意や善意に期待したり、それに甘えたりすべきではありません。

 お互いに厳しいBusinessの世界では、善意や厚意に期待することは間違いで、そのようなことは実現しないと考えるべきです。

 期待しないで、やはり自分で努力すべきです。


フォロー Follow

83-02

 部下に命じたことが、確実に遂行されているか、絶えず追求(フォロー) することが大切です。

 自分の言ったことは、必ずやってくれていると思って、フォローしないというのは、部下の善意にあまえていることになりますし、部下からみれば、あのテーマに関しても、自分に対しても、あまり関心がないのだなーと思います。

 『あれ、どうなった?』絶えずフォローして『逃がさない』ことが大切です。

 部下に『まかせる』ということと、きっちり『フォロー』するということは別のことです。


供給者になれるのは誰か?

83-03

 世の中の一般的な景気をみているだけでは判断できません。

 得意先一社一社の状況によって、変わってきます。

 グローバル化した今の時代は、需要があっても、他社の材料にとって替わられることがあるわけで、需要が回復しても、誰が供給者、サプライヤーとして残れるか?ということが問題なのですから、単に需要があるからといって安心はできません。


設備投資

83-04

 設備は一生のもの…という考え方を捨てなければなりません。目先の需要があり、さらに伸びるようなら対応しなければなりませんが、変化の激しい時代ですから、先はどうなるかわかりません。
 早く償却して、少しお釣りが残ったら捨てても良い…これくらいの考え方でないと設備投資はできません。



ブレーキとハンドル捌き

83-05

 成長期のような、まっすぐな道は、アクセルを踏んでおればよいのですが、今日のように曲がりくねった道を走るには、ブレーキとハンドル捌きもうまくやらないと、前へ進みません。


やる気

83-06

 人間にとって、一番イヤなことは無視されることです。

 憎まれるより、無視されるほうが辛いものなのです。

 部下の報告、特に営業スタッフの報告は毎日聞いてやることです。そうすると報告する方は、報告する材料が出来ることを喜び、それが一人前の営業スタッフとして、自立にもつながります。

 営業の仕事は、やる気のある、なしで、これほど差の出るものはありません。製造の現場は少々やる気がなくても、機械がかってにやってくれる部分がありますが、営業はそうはいきません。


量の仕事、質の仕事

83-07

 会社には、量的な仕事をする人と、質的な仕事をする人がいて、どちらが上とか、下とかというのではなく、それぞれ役割分担をしているわけです。

 役員や管理職は、どちらかというと質の仕事が求められますし、製造現場で働いている人はどちらかというと量の仕事になりましょう。

 当社の提案制度の考え方は、質の仕事をしている人は、提案するのはあたりまえであって、報奨の対象にはなりません。

 本来は量の仕事を主体にしている人が、提案するので、それが報奨の対象になるのです。

 日本の製造現場が強いといわれたのは、現場が改善の提案をするからだといわれます。

 これに対して外国の労働者は、あまり提案しないのだと思います。


道具としての英語

83-08

 日本では昔から、学問といえば『読み書き、ソロバン』です。

 私達がこれから、グローバル社会で生きて行こうとすると、英語がどうしても必要になりますが、これは『喋る、聞く』ということであって、『読み、書き、ソロバン』には入っていません。

 日本人にとって、英語で必要なことは喋ることと、聞けることであって、これは『道具としての英語』なのです。この点、学問として英語を勉強したり、教えたりしてきた日本の英語教育は改めなければなりません。

 英語は、日本人にとって必要な道具なのですから、そのつもりの取り組みが必要です。

 もちろんの英文学とか、比較言語学とか、学問としての英語はありますが、いま日本人にとって必要なのは、コミュニケイションの道具としての英語です。


独裁国家

83-09

 他国からみて、その国家が怖いとか、危険だとかと判断される基準は、その国が独裁国家であるかどうかということです。

 その国の国民が、怖いわけではありません。独裁が怖い。

 かつての日本も、軍が支配する独裁国家でした。今の北朝鮮と似ていました。


日本で売れるモノ、世界で売れるモノ

83-10

 日本人は、日本で売れるモノは世界でも売れると思っていましたが、現実に違うようです。

 日本より韓国メーカーのテレビのほうが、世界でのシェアーが高いのは、日本で売れるものはどこの国でも売れるという、日本側の思い違いからきていると思われます。

 韓国メーカーのほうが、しっかりマーケティングをやって、その国のニーズ、たとえば性能より価格…と思えば、機能を落としてでも価格の安い商品を出すとか、それぞれの国のニーズにあわせた戦略が成功しているのだと思います。



人事

83-11

 どんな人でも、そのポジションにつければ、50%はできるものです。あと、それを70にするか、80までになるかは、その人の能力や努力しだいですが…。

 人の可能性というのは、新しいポジションにつけてみないとわからないわけですから、思い切った人事異動は必要なことです。

 私自身が人事をやっていた頃は、経理出身者を営業部長にしたり、経済学部出の人を研究所長にしたり、私の秘書をしていた文系の人を工場長にしたり…随分、動かしたものです。


日本のマーケットは日本のものではない

83-12

 日本の領土は日本のものですが、日本のマーケットは日本のものではありません。

 日本の市場は、世界中から、誰がとりに来てもよいわけです。これがグローバル化です。

 私が今、グローバルニッチトップといっているのは、それぞれの企業の規模に応じて、その分野で、世界一にならないと、生き残れないと思うからです。


本稿は、利昌工業株式会社取締役社長 利倉晄一が社内の会議等で、発言したことを社員が記録したもので、社内報に掲載したものを一部転載させて頂きました。