■開発の経緯
住友大阪セメント様では平成19年(2007年)4月に、熱可塑性樹脂の内部に独自の無機鉱物熱伝導性フィラーを配した「ジーマ・イナス」を開発され、モーター、センサ、LED関連部品での採用が進んでおりましたが、ご需要家様より熱硬化性タイプで「ジーマ・イナス」の新しいグレードを開発できないか?というご要望が多数寄せられました。
これを受け、住友大阪セメント様から、技術系専門商社である森六ケミカルズ様を通じて、利昌工業に共同開発の申し出を賜り、約一年にわたる研究期間を経て、この度のサンプル出荷に到った次第です。
『リコ・ジーマ・イナス』には、住友大阪セメント様の熱伝導フィラー技術と、利昌工業の封止用エポキシ樹脂技術が活かされております。
■優れた熱伝導率
『リコ・ジーマ・イナス』最大の特長は、電気絶縁材料(=比抵抗1013〜1015Ω・cm、絶縁破壊電圧9〜16kV/mm)でありながら、最高7.3W/m・Kという高い熱伝導性を兼ね備えていることにあります。
一般的に材料が持つ電気絶縁性と熱伝導率は、相反する関係にあります。これは熱が分子や電子同士の衝突によって伝わるからで、自由電子を持たない電気絶縁材料の熱伝導率は金属に比べ、極端に低くなります(下表参照)。
例えば、鉄の84W/m・Kに対し、ガラスより下にある電気絶縁材料になると、熱伝導率が極端に低くなり、一般的なフェノール樹脂や、エポキシ樹脂では0.2 W/m・K台というような数字となっております。
これに対し、電気絶縁材料(比抵抗1.7×1015Ω・c m、絶縁破壊電圧9kV/mm)である『リコ・ジーマ・イナス』の2液タイプは、7W/ m・Kと世界最高水準の熱伝導率を記録します。
ちなみに、熱伝導率の単位であるW/m・K(ワット・パー・メートル・ケルビン)のWは熱量、ケルビンは絶対温度を表し、物質の中の熱の伝わり方の代表的な単位として用いられております。
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