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平成21年10月10日
 

利昌工業株式会社




 この度、利昌工業では住友大阪セメント株式会社様と共同で、世界最高レベルの熱伝導性をもった液状エポキシ樹脂封止材『リコ・ジーマ・イナス』を開発いたしました。

 

開発の経緯

 住友大阪セメント様では平成19年(2007年)4月に、熱可塑性樹脂の内部に独自の無機鉱物熱伝導性フィラーを配した「ジーマ・イナス」を開発され、モーター、センサ、LED関連部品での採用が進んでおりましたが、ご需要家様より熱硬化性タイプで「ジーマ・イナス」の新しいグレードを開発できないか?というご要望が多数寄せられました。
 これを受け、住友大阪セメント様から、技術系専門商社である森六ケミカルズ様を通じて、利昌工業に共同開発の申し出を賜り、約一年にわたる研究期間を経て、この度のサンプル出荷に到った次第です。
 『リコ・ジーマ・イナス』には、住友大阪セメント様の熱伝導フィラー技術と、利昌工業の封止用エポキシ樹脂技術が活かされております。

 

優れた熱伝導率

 『リコ・ジーマ・イナス』最大の特長は、電気絶縁材料(=比抵抗1013〜1015Ω・cm、絶縁破壊電圧9〜16kV/mm)でありながら、最高7.3W/m・Kという高い熱伝導性を兼ね備えていることにあります。
 一般的に材料が持つ電気絶縁性と熱伝導率は、相反する関係にあります。これは熱が分子や電子同士の衝突によって伝わるからで、自由電子を持たない電気絶縁材料の熱伝導率は金属に比べ、極端に低くなります(下表参照)。
 例えば、鉄の84W/m・Kに対し、ガラスより下にある電気絶縁材料になると、熱伝導率が極端に低くなり、一般的なフェノール樹脂や、エポキシ樹脂では0.2 W/m・K台というような数字となっております。
 これに対し、電気絶縁材料(比抵抗1.7×1015Ω・c m、絶縁破壊電圧9kV/mm)である『リコ・ジーマ・イナス』の2液タイプは、7W/ m・Kと世界最高水準の熱伝導率を記録します。
 ちなみに、熱伝導率の単位であるW/m・K(ワット・パー・メートル・ケルビン)のWは熱量、ケルビンは絶対温度を表し、物質の中の熱の伝わり方の代表的な単位として用いられております。

 

 


優れた作業性・流動性

 『リコ・ジーマ・イナス』のもうひとつの特長は、大量のフィラーを含んでいるにもかかわらず、注型作業に適した流動性を備えている点です。これにより、様々な形状をした発熱体の微細な空隙の隅々にまで行き渡り、絶縁を確保しながら効率よく熱を伝えます。

 

 

ラインナップ

 『リコ・ジーマ・イナス』には、エポキシ樹脂として一般的な2液タイプ(主剤&硬化剤のセット)に加え、使用前の計量作業が不要で使いやすい1液タイプもございます。タイプ別の熱伝導率は下表の通りです。また、1液タイプで4W/ m・Kという値も世界最高レベルの熱伝導率となっております。

 

 

ご提供の形態

 両タイプとも1kg 缶と、5kg 缶をご用意いたしました。2液タイプの場合は主剤と硬化剤をそれぞれ1kgあるいは5kgお求めいただくことになります。また、評価用の有償サンプルは最小ロット1k gから提供いたします。(2液タイプは主剤+硬化剤のセット販売になります)
 いずれも「クール宅配便」での発送とさせていただきます(送料は原則ご需要家様のご負担)。

 

放熱設計の際のご注意

 『リコ・ジーマ・イナス』の位置づけは「熱伝導材料」です。発熱体を『リコ・ジーマ・イナス』で封止して、その熱を空気中に放散するという方法ではなく、『リコ・ジーマ・イナス』を介して、ケースやフレーム、ホディなどへ熱を逃がすような放熱設計でのご利用を想定しております。
 モーター、LED、パワー半導体分野などで、温度上昇を抑えたい、素早く冷やしたい、一方で電気絶縁性は保ちたい…という命題に対し『リコ・ジーマ・イナス』は最もすぐれた材料的回答のひとつであると考えております。