RISHO Now 193_3

平成26年4月10日
 

利昌工業株式会社




 

 この度、株式会社日立製作所様経由にて、環境省が実施している浮体式洋上風力発電実証事業の2000kW実証機用昇圧変圧器として、リショーモールド変圧器を納入致しました。
 風力発電は、環境にやさしいクリーンなエネルギーとして注目されている再生可能エネルギーのひとつです。
 浮体式洋上風力発電は、海に浮かべて発電する風車で、水深が50〜200mの海域に、風車を支える土台を海に浮かべチェーンなどでつなぎ止める構造と紹介されています。
当社では、平成24年に連系運転を行う浮体式洋上風力発電としては我が国初となる100kW小規模試験機への納入経験を活かし、昨年国内で運転している風車では最大級の2000kW実証機用の昇圧変圧器の設計製作に取り組み、振動試験、傾斜試験の検証を実施し、今回納入が完了致しました。

 

 

浮体式洋上風力発電用変圧器の仕様

 変圧器は、海の上に浮かぶ風車に据え付けられるため、波や風による揺れを受けます。特に台風通過時などには、非常に大きなものとなりますので、十分な耐震・耐動揺性能に加え、傾斜にも耐える構造としました。
 タワー内は気密性が保たれていますが、変圧器は海面より下の位置に据え付けられることから、湿気や塩分の侵入に対する防錆と絶縁強化を図りました。さらに、輸送時は横倒し状態にて運搬可能であることが要求されました。
 仕様を表1に示します。

 

 

 

振動試験、傾斜試験

 振動試験では、水平X,Y方向、鉛直Z方向の3方向について、加速度0.7Gの共振周波数で30分間加振した結果、外観構造に問題がないことを確認しました。
 傾斜試験は、定格電圧を加えた状態で試験を行いました。

 

 

 静的傾斜試験では、前後、左右にそれぞれ22.5°傾斜させ15分間保持し、また、動的傾斜試験では、前後、左右で20°のローリングを15分間実施した結果、動作状態に問題はなく、外観構造に問題がないことを確認しました。
 振動試験、傾斜試験後、工場へ持ち帰り、受渡試験を実施した結果、初期値と変化なく、問題ないことを確認しました。
 振動試験結果を表2に、傾斜試験結果を表3に示します。

 

 

 

耐汚損性能
一次、二次共に、密着形絶縁キャップ構造の採用により、端子部から吸湿することがなく、汚損に強い構造としました。

 

輸送
変圧器は工場でタワー内に固定され、風車の本体は横倒しにした状態で輸送されることから、背面に横倒し可能なフレームを設け、また、横倒しで輸送してもモールドコイル等が位置ずれしないよう固定構造の強化を図りました。

 

まとめ

 モールド変圧器はさらなる厳しい環境への対応、小型軽量化、高効率への要求が高まっています。
 今後も、リショーモールド変圧器の特長を生かした用途の拡大へ向け、新たな技術を取り入れ、ニーズにあった開発に取り組んでまいります。