RISHO Now 232_1

2024年1月10日
 

利昌工業株式会社


最初に導入した分析機器
 このたび利昌工業では、フーリエ変換型赤外分光光度計(FT-IR)をリニューアルしました。利昌工業に最初の研究所が竣工したのは1962(昭和37)年です。1955年に国産初のトランジスタラジオが発売されるなど機器のプリント配線が急速に進み、創業商品である「絶縁材料」を「電子材料」へと進化させるためでした。
 このおり研究所に最初に導入した分析機器が「赤外分光光度計」で、その後も最新のものへと更新を重ねてまいりました。

赤外分光光度分析とは
 紫外線(UV)が美容の大敵であるのに対し、赤外線(IR)は美顔器にも利用されるなど、可視光よりエネルギーが小さい光です。物質の分子の結合部は、固有の波長で振動あるいは回転を繰り返しています。ここにIRがあたると低エネルギーであるがゆえ振動や回転のエネルギーとして吸収されてしまいます。この情報(吸収スペクトル)を解析することで分子の構造や含有量を得るのが赤外分光光度分析です。
 サンプルを非破壊で測定できますので、粉末、フィルム、繊維、液体などさまざまな形状や状態のものを分析することができます。

フーリエ変換とは
 サンプルの多くは化合物ですから、FT-IRは多くの情報を同時に検出します。これを物質の波長ごとに分離する技術が「フーリエ変換(FT=Fourie Transform)」です。
 人が聞こえない音を分離して配信用の圧縮データ(mp3)をつくったり、デモテープからジョンレノンの歌声のみを抽出したりと、FTは音楽の分野でも活躍しています。発明者のフーリエ男爵(仏)にはノーベル賞をあげたいくらいですが、第一回の授与式は、彼の没後約70年です。



日々大いに活用
 利昌工業の研究所では、FT-IRを使用するのに順番待ちができるほどで、新商品の開発はもとより、既存製品の品質管理など、日々大いに活用しております。