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2024年10月10日
 

利昌工業株式会社

滋賀の家展
 去る7月13日から9月23日まで、滋賀県立美術館(大津市瀬田南大萱町)にて「滋賀の家展」が開催されました。この企画展は、同美術館の開館40周年記念となるもので、1960年代における日本の住宅産業と滋賀県のつながりから、現代建築家による実践までが紹介されました。

プレハブ住宅の名産地
 滋賀県にはかつて、積水ハウス鰍フ滋賀工場(1961年/現栗東市)、ナショナル住宅建材鰍フ湖東工場(1969年/現東近江市)、大林ハウジング鰍フ八日市工場(1971年/現東近江市)、旭化成ホームズ鰍フ滋賀工場(1974年/現東近江市)といった名立たるメーカーのプレハブ住宅工場が開設されました。このため同展には、当時各社が配布した多くのパンフレット類が展示されました。
 話が脱線しますが「プレハブ」とは「予め加工された」という意味の「Pre-fabricated」を略したものですから、英語で話すときは「プリファブ」と発音した方が良いかも知れません。

カプセルハウスの名産地
 さらに先日、老朽化のため惜しまれつつ解体された「中銀カプセルタワービル」(1972年/東京都中央区銀座)は、鉄道車両の製造などを手掛けるアルナ工機鰍フ姉川工場(米原市)で製造されました。140棟のカプセルは、高速道路で運ぶために道路法を基準としたサイズに収められたそうです。

 そしてこれと同じ1972年。利昌工業の滋賀工場(栗東市)では、カプセルハウス「フローラ」の製造が始まりました。10年足らずの間に500棟が納入されましたので、滋賀県は半世紀ほど前の一時期、カプセルハウスの名産地でもあったわけです。

FRPカプセルハウス「フローラ」
 今から半世紀ほど前、F R P (繊維強化プラスチック) 製品の普及のため「鉄よりも強くアルミより軽い。しかも錆びず、腐らない」といったコピーが盛んに使用されました。

 この時期、利昌工業の滋賀工場では、レーダーのカバー(レドーム)のような大型のFRP成型を得意としており「いつかプラスッチックで家を…」の想いを叶えたのがフローラです。それこそ「プリファブ」のFRPパネルを4枚組み合わせるだけの構造ですが、4メートルの積雪と90メートルの風速に耐えるように設計されており、梁も柱もないプラスチックの家としては、わが国で初めて建築大臣の認定を受けました。
 フローラはスキー場や海の家、あるいはオートキャンプ場といった用途でご好評を賜りました。
 このたびは、半世紀も前に使命を終えた製品に、再びスポットライトをあてていただき、まことにありがとうございました。