RISHO Now 237_1

2025年04月10日
 

利昌工業株式会社

CNF-100パーセントのパイプでフレーム
 このたび利昌工業は、多くの方々の協力を得てセルロースナノファイバー(以下、CNF)100パーセントから成るパイプをフレームとした自転車(表題横に写真)を製作していただきました。

ナノセルロース・ビークル・プロジェクトに貢献
 利昌工業では100年前から紙や布、あるいは木材といったセルロースをベースとする材料の取り扱いを得意としております。
 2 0 1 9 年の東京モーターショーでは、CNF-100%のハニカムサンドイッチパネルでボンネットアウターを試作。環境省ナノセルロース・ビークル・プロジェクトのコンセプトカーの軽量化に貢献しました。

CNFバイクプロジェクト
 このリリースをご覧になった自転車愛好家の福場秀和さんから「CNFのパイプを使った自転車を作ってみたい」とのご提案が寄せられ、CNFバイクプロジェクトのリーダーをお願いすることになりました。

 利昌工業100年の知見に基づく職人技をフルに発揮して製造したもので、ハンドメイドの段階ながら世界初、CNF-100パーセントのパイプです。

ドリームチームを結成
 CNFバイクプロジェクトの遂行にあたっては、福場様の知人でその方面のプロである職人さんたちが各々の能力を遺憾なく発揮されました。

Gersonさん
 CNFパイプでフレームを製作したのが八尾市の自転車工房Gerworksの店主Gersonさんです。
 Gersonさんが、得意とされる自転車のフレームは竹。竹が振動を吸収することで、疲れにくい長距離輪行用の自転車(ランドナー)をテイラーメイドされている気鋭の自転車ビルダーです。

 自転車のフレームは、サスペンションやステアリング機構を兼ね備える最も重要なパーツ。ハンドメイドのパイプのように「円筒度」が低いものでこれを作ると、いわゆる「芯が出ない」ため安全走行に支障を来します。
 この問題は、日ごろから竹を取り扱っておられるGersonさんの技術でクリアできました。

福場友美子さん(香川県の漆芸家)
 上写真のような外観であったフレームに漆を施すことで、芸術品のような自転車にグレードアップしてくださったのが、香川県の漆芸家、福場友美子さんです。

 漆は何度も塗り重ねることが知られていますが、前工程である木地の処理も非常に大切です。
 パイプの接合部には段差や粗さが目立ちますが、これを丹念に研磨して漆塗り。たくさんの実をつけて蔓を張ることから繁栄の吉祥紋とされる葡萄の葉の模様を肉上げ技法で盛り上げ、彩色であしらってくださいました。

サイクルショップ銀輪亭 出口隆二さん
 本プロジェクトのプロデューサでGerworksの正規代理店(豊中市)。CNFバイクのコンセプトは「おしゃれな街乗り」です。休日に女性がお気に入りのカフェにモーニングを食べに行くようなシーンを想定。これにふさわしい部品をチョイス・ご提供くださいました。

 そして各種部品をGersonさんがフレームに艤装して世界でただ1台、CNFバイク(下記写真)の完成です。