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2025年10月10日
 

利昌工業株式会社

尼崎市特産品のひとつとして展示
 さる9月11日(木)、EXPO 2025 大阪・関西万博の関西パピリオン/兵庫県ゾーンにて、利昌工業の高耐熱薄物プリント配線板材料である「ガラスエポキシテープ」を展示いただきました。
 この日は兵庫県内にある41の市や町が順番で大阪・関西万博に出展する「ひょうごEXPO 41−HYOGO REGIONAL DAY−」というイベントの「尼崎市の日」にあたり、市内の特産品のひとつとして栄えある展示となったものです。

 このほかにも、名神高速道路で掲示される東亜通信工材蒲l(西長洲町)の非常電話表示灯、滑ン本吉二商店様(塚口本町)の菰樽(こもだる)、東京スカイツリーなどに採用される神鋼鋼線工業蒲l(中浜町)のエレベーターロープ、そして地元で採れる「あまやさい」が展示されました。

ガラスエポキシテープ
 ガラスエポキシテープはリリースから50年近くになるロングセラー。そしてワールドワイドなヒットアイテムでもあります。ただ用途がかなりピンポイントに限られるため、これまで本誌で詳しくご紹介しておりません。そこで、この度の栄えある展示を機に、この場をお借りしてご案内したいと存じます。

接触型ICカードの端子
 ガラスエポキシテープは、接触型ICカードの端子として採用されるものです。カードの表面で金色に光るあの部分です。この裏側には金のワイヤでつながれた裸のICチップが搭載され、さらに樹脂で封止されています。
 端子に金めっきを施すのは、ゴージャスに見せるためではありません。金は非常に安定的な物質で日常使用では酸化しない(錆びない)からです。

薄くて長いプリント配線板材料
 プリント配線板のベースとなる絶縁板は、エポキシ樹脂をガラス布で強化したGFRP(GlassFiber Reinforced Plastic)です。一般的な厚みは1mm程度。レギュラーサイズは1m角程度です。
 利昌工業では1978年、これを0.1mm程度に薄物化。かつ幅はそのままで、長さはロールに巻き取り可能な限度まで…というテープ状とすることに、世界ではじめて成功しました。これがガラスエポキシテープ(以下、EGテープ)です。

リールtoリールプリント配線板材料
 このEGテープ自体をベルトコンベアにすると、樹脂封止されていない裸のICチップを、オートメーションで次々と搭載することができ、機器の薄型化や量産による低価格化が実現します。
 さらに、搭載されたチップを樹脂で封止する。首尾よく搭載されているか検査する。端子をカードに搭載するサイズや形状に打ち抜き加工する。こういった作業もリールtoリールのオートメーションで行うことが可能になります。

薄くても高耐熱かつ丈夫
 EGテープには、利昌工業が得意とするプリント配線板材料を高耐熱化する技術が活かされています。ICチップとEGテープを金のワイヤでつなぐ作業は、放電で溶かした金のワイヤの両端を、超音波をかけながら両者に圧着するというものです。EGテープは薄い樹脂製の基板ですが、このおり発生する高い熱と、ワイヤの先端が熱いまま強く押し付けられる力に耐える性能を兼ね備えております。

尼崎発のワールドワイド商品に
 EGテープは薄型のデジタル腕時計やカード型電卓などに採用されるも、当初は伸び悩みました。ところが1980年代にヨーロッパで普及しはじめたICテレホンカードに採用されたのを皮切りに、キャッシュカード、クレジットカード、ETCカード(高速道路の料金精算)、衛星放送の視聴用カード(B-CASカード)、携帯電話のSIMカード、住民基本台帳カード、マイナンバーカードなど世界中のあらゆるICカードやスマートカードに採用される尼崎発のワールドワイド商品となりました。