Products News 283

2023年4月10日

利昌工業株式会社


30年で10万倍
 令和2年版の情報通信白書(総務省)によると、第1世代、すなわち音声通話のみのアナログ式であった移動通信システムの最高通信速度は毎秒10キロビット(10kbps)。これに対し第4世代のそれは毎秒1ギガビット(1Gbps)。ざっくり平成の30年間で10万倍の高速かつ大容量化です。
 的を外していないと良いのですが、アイフォンのメインカメラで撮影した写真データ(1200万画素)1枚あたりの容量は3メガバイト程度。1バイト=8ビットですから、この2400万ビットのデータを、無理からに1G通信のシステムで送ったとしたら最短40分。4G通信なら最短0.024秒。このような切り口の比較もできそうです。
 5G通信ではさらにこの10倍。2030年代に予定されているBeyond 5Gでは、データを運ぶ電波の周波数帯もギガヘルツからテラヘルツと、この先さらなる高速大容量通信の時代が控えています。

プリント配線板材料もこれに対応
 これを受けて高速大容量通信のアンテナ、サーバー、スイッチといった機器に搭載されるプリント配線板材料にも「低誘電率」や「低誘電正接」すなわち信号速度の低下や減衰が少ないという特性が求められています。
 

◇比誘電率(Dk / Dielectric constant)
 多くのプリント配線板は、絶縁板の両面あるいはその内部にも回路が形成されており、導体と絶縁体が層をなすコンデンサのような構造になっています。このような状態で銅箔回路に信号(電流)が流れると、その電子の一部が回路と絶縁板の界面に滞留するという、コンデンサに似た現象が生じます。
 ここに滞留しようとする電子の動きは、信号が前進するスピードを減速させる方向に作用します。進む方向とは別の方向に寄り道するものが出てくるわけですから、その動きに引っ張られるような格好で信号の前進スピードが落ちる…というのが、ざっくりとしたイメージです。
 電子の一部が滞留する程度は「誘電率」で表されますが、絶縁物は固体、粉体、液体、あるいは気体であるかを問わず、それぞれが固有の誘電率を持っています。そこで電極に挟まれた真空の誘電率を1として、これとの比率である「比誘電率(Dk)」で表されることがほとんどです。




詳細は、PDFファイルでご覧頂けます。
当、Products Newsは、「RISHO NEWS 229号」より抜粋しました。
PPE樹脂 低誘電率接着シート AD-3379(PDF 2.36MB)



利昌工業株式会社