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■熱硬化性樹脂積層管
本稿でご紹介するFRP管は、熱硬化性樹脂積層管(Laminated thermosetting tubes)と呼ばれるもので、JIS規格(K 6914)に基づく名称です。以下「積層管」といたします。
積層管は、フェノールやエポキシといった熱硬化性の樹脂を、紙や布あるいはガラス布に含浸させた基材(プリプレグ)をつくり、これを鉄芯に強固に巻き上げ、完全熱硬化させたものです。
紙や布といった繊維質の基材で強化されていますので、熱可塑性の樹脂のみを押し出したり、型に流したりして作るプラスチック管と比べ、機械的強度に優れ、さらに耐熱性や耐薬品性にも優れます。


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■唯一のJISマーク認証取得企業
JIS K 6914が制定されたのは1962年。利昌工業では、この積層管を前身の利昌洋行の時代である1925年から販売しており、もうすぐ100年のロングセラーです。さらに利昌工業では、樹脂の合成から、プリプレグ、そして積層管の製造までを一貫体制で行っており、熱硬化性樹脂積層管に関してJISマーク表示の認証を取得しているのは利昌工業だけです。(認証番号:JQ0508165)
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■工業用巻き芯への展開
積層管は変電所などにある大型変圧器や、これにとりつけられるブッシングの油中絶縁筒として開発されたもので、本来の用途は重電機器用の電気絶縁材料です。
近年では、軽くて丈夫な点が評価され、高機能フィルムやフォイル、あるいは鋼帯などの製造現場で、これらの材料を巻き取るための巻き芯として多くのご愛顧を賜っております。

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■紙フェノール管とガラスエポキシ管
利昌工業が工業用の「巻き芯」としてご提供する積層管には、大きく分けて、紙にフェノール樹脂を含浸させた基材を巻き上げる「紙フェノール積層管」と、ガラス布にエポキシ樹脂を含浸させた基材を巻き上げる「ガラスエポキシ積層管」がございます。
強度、比重、耐熱性、耐薬品性、そして価格の点でガラスエポキシ積層管の方が高い値になりますが、表面の「きめ細かさ」は紙フェノール積層管が勝ります。
営業スタッフが、用途やコストなどをお伺いして、最適な巻き芯をご提案いたします。


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■リショーライト ハイパフォーマンス巻き芯
利昌工業では、自らも約100年にわたり積層管を巻き続けてきた知見をもとに、巻き取る材料ごと、さらにはご需要家様ごとに異なる、さまざまなご要望に対して、積層管の特長を最大限に生かしたカスタムメイド巻き芯をご提供します。
リショーライト ハイパフォーマンス巻き芯の製作例をご紹介します。
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◆二層管
異なる基材を同心円上に巻き上げた巻き芯です。タフな内層とデリケートな表面をあわせ持つ巻き芯など、積層管を巻き芯にご採用いただくメリットのひとつです。


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◆二重管
チャックの径に合わせた内層管と、所定の外径、あるいは巻き取る材料に相応しい表面状態に仕上げた外層管を、フランジでカップリングした中空構造の巻き芯です。
吊り下げベルトやリフトの爪があたる部分にリブを入れて補強することもできます。
径が太い巻き芯は、極薄材料を巻き取る際の「しわ不良」対策に有効です。ご使用中の巻き芯を手軽に「インチアップ」することができ、さらには軽量化も実現しますので、ぜひご検討いただきたくご提案申しあげます。

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◆表面処理
巻き芯のパフォーマンス向上のため、導電性塗装(静電気対策)、ウレタン塗装、ゴムライニング(段差の転写低減)など、材料にあわせた表面加工も承っております。
その他の処理についても対応できる場合がございますので、ご相談下さい。
【 表面処理の一例 】
● 表面粗さ(Ra):0.5μm〜5.0μm
● 表面塗装 :ウレタン塗装/エポキシ塗装

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■製作可能寸法
積層管の最大製作サイズは、あらかじめ用意している鉄芯(マンドレル)の最大径や、製造設備の全長などに制約されます。利昌工業で製作可能な積層管のサイズは右記の通りです。
これ以外のサイズについても、新たに所定の径の鉄芯を用意するなどして対応できる場合もございますので、ご相談下さい。

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■強度試験
リショーライト熱硬化性樹脂積層管を、巻き芯としてご利用いただくため、強度などについて他のプラスチック管と比較試験を行いました。
◆曲げ強度試験
曲げ強度試験の結果は次の通りです。
リショーライト紙基材フェノール樹脂積層管(φ76.2mm = 3インチ)は、10キロニュートン以上の荷重をかけても、たわみは2mm以内に納まっていることが見て取れます。

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◆圧縮強度
圧縮強度試験の結果は、右の通りです。
リショーライト紙基材フェノール樹脂積層管(φ76.2mm)は139メガパスカルの荷重に耐えました。

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◆その他 特性比較

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