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エポキシモールド電気機器

変圧器の「積み鉄心」

rishocast

薄い鋼板を重ねて「うず電流」を低減

積み鉄心
▲積み鉄心の断面

 

鉄心の役目

  鉄心の役目は、一次コイルから生じる磁束の通り道となり、これを二次コイルに伝えることです。

 

 磁束の強さ(磁束密度)を示す単位に「テスラ(T)」があります。以前によく磁気ネックレスなどの説明に使用されていた「ガウス(G)」との関係は、1テスラ=1万ガウスです。

 

  変圧器の鉄心には、それぞれの仕様にもよりますが1.6テスラ程度の磁束が流れます。

 

 リフティングマグネットと呼ばれ、鋼材などを吊り上げるのに使用される強力な電磁石でも、2テスラが限界と言われていますので、変圧器の鉄心には、これに匹敵するくらいの磁束が流れるわけです。

▲リフティングマグネットのイメージ

 2テスラが限界で、変圧器の鉄心には、これに匹敵するくらいの磁束が流れます。

 

鉄損

 磁束が鉄心のような金属を通過する際、金属の内部には磁束の変化を妨げる方向に、うず状の電流(以下、うず電流)が流れます。

 

 商用周波数が60ヘルツなら変圧器の鉄心を通過する磁束は1秒間に120回変化します。そして、その都度これを妨げる方向に生じたうず電流は、鉄心が持つ電気抵抗によって熱に変わります。

 

 このうず電流による発熱を利用しているのがIH調理器です。IH調理器から生じる磁束はわずか数十マイクロテスラですが、周波数を何十キロヘルツにも変換すると、磁束の変化は変圧器の何百倍にもなりますので、お湯が沸くようなうず電流が発生するわけです。

 

  うず電流によって熱に変わるエネルギーは、本来、二次コイルに電流を起こすために使用すべきものです。この発熱によるロスは変圧器の「鉄損」と呼ばれます。電力を有効に利用して発電の際に排出されるCO2を抑えるためにも、変圧器の設計において、鉄損対策は重要です。

うず電流

▲うず電流のイメージ

  磁束の変化を妨げる方向に発生します。発生したうず電流は鉄心がもつ電気抵抗により熱に変わります。これにともなうロスは「鉄損」と呼ばれます。

 

積み鉄心(積層鉄心)

 鉄損を小さくするためには、磁束の通り道をできるだけ狭くしてしまうのが効果的です。うず電流が発生する余地を、なるべく小さくしてしまうというわけです。

 

 このため、変圧器の鉄心は「一本もの」の太い鉄棒ではなく、0.3mm厚程度の薄い鋼板を何枚も重ねた「積み鉄心(積層鉄心)」の構造になっています。

 

 この鉄心用の鋼板は、日本が世界に誇る技術で製造されています。ぜひ一度「電磁鋼板」や「ケイ素鋼板」で検索してみて下さい。

▲積み鉄心(積層鉄心)のイメージ

  薄い鋼板を何枚も重ねてひとつの鉄心とします。磁束が通る経路を狭くし、個々に生じるうず電流を小さくすることで鉄損を減少させます。